【ネット連載企画】
レジャーホテルにおけるコンプライアンス経営・運営のポイント
連載1回
兵庫県の「景観の形成等に関する条例」にみる規制強化の問題点
レジャーホテル許可届出サポートセンター
行政書士 森川つよし
1.はじめに
兵庫県では、全国に先駆けて「景観の形成等に関する条例」(景観条例)を施行しており、いわゆる偽装ラブホテルの建設が社会問題となった平成21年には、、景観基準と手続を厳しくする改正を行っています。景観条例の特徴は、風適法と異なり、4号営業ホテルと新法ホテルを区別せずに規制していることです。
平成23年風適法政令改正は、4号営業ホテルの要件を拡大しましたが、どのホテルも既得権営業として4号営業の届出をし、あるいは新法ホテルに移行することで、レジャーホテル営業を継続しています。そこで、兵庫県に限らず、今後レジャーホテル規制のために景観条例が用いられ、大きな役割を果たすことも予想されます。そこで、本条例の内容を確認し、対応を想定してみましょう。
2.兵庫県景観条例の内容
(1)対象となる建築物(特定建築物)
ホテル・旅館については:延べ面積500㎡以上または客室10室以上で、ほぼ全てのレジャーホテルが該当します。ただし、同県風適法施行条例2条4号の第4種地域(三宮、福原、神田新道、魚町の各地区)にある場合は対象外です。
(2)特定建築物等景観基準
特定建築物には、意匠(デザイン)、材料、色彩などについて景観基準が定められます。例えば意匠では、外壁、壁面設備、屋根・屋上、屋上設備等について細かく基準が規定され、基準の解説には、人形・植物など物の形をモチーフとした装飾をした外壁や、尖塔・ドーム等装飾的な屋根など既存ホテルを想定して規制しているかのような記述があります。
(3)対象行為
特定建築物の①新築、改築、増築、移転、②大規模な修繕、大規模な模様替え、③外観の過半にわたる色彩または意匠の変更、を行う場合には知事に届出をしなければなりません。
なお、既存の特定建築物についても、知事から景観基準の遵守を求める要請をすることができるとされています。
(4)手続
上記(3)に該当する場合、環境評価と届出について、事業者は景観影響評価準備書を作成して提出し、公告・縦覧を経て、住民説明を行わなくてはなりません。そして、住民からの意見書と、それに対する事業者の見解書が行政に提出され、審査意見書が作成されます。それらを元に事業者が作成した景観影響評価書と行政の再審査意見書が公告・縦覧された後に、特定建築物の新築等の届出を行うことになります。
景観影響評価準備書・評価書の作成するための時間・コストは相当なものですし、住民説明と住民からの意見書は、反対運動のきっかけとなりかねません。
さらにこのれら手続は、建築確認の申請前に行う必要があり、レジャーホテル新設は相当困難となります。
3.対応について
では、既存レジャーホテルの改修・リニューアルは、この条例で困難となるでしょうか? 条例による環境評価と届出の提出が必要な場合もあれば、不要となる場合もあります。
その分かれ目は、上記2.(3)②大規模な修繕、大規模な模様替え、③外観の過半にわたる色彩、意匠の変更、にあたるかどうかです。
②は、建築物の主要構造部(=柱・梁・壁などいわゆる躯体の部分)について、それぞれの半分を超える修繕または模様替をすることです。
③は、周囲から見える外観の半分を超える部分についての色彩または意匠の変更することです。
つまり、既存レジャーホテルは、躯体の半分以下の修繕・模様替え、または周囲から見える部分の半分以下の色彩・意匠の変更であれば、この条例の手続なしに行うことができます。
そして、この条例による環境評価、特に住民説明の手続は、新規レジャーホテル参入を防ぎ、結果として既存ホテルを保護する機能も果たします。
このように、景観条例など新たな規制についても、規制の内容を詳しく検討し、冷静に対応すれば問題を回避できる場合も多いのです。ぜひ一度、ホテル所在地の景観条例を検討してみてください。当センターでもご相談を受付けています。





