「東日本大震災」現地レポート
季刊「レジャーホテル」編集部
「季刊レジャーホテル」編集部では、4月14、15日の2日間、東日本大震災の被災地を回りました。㈱アルメックス仙台支店、東京マツシマ仙台支店の担当者によると、4月15日現在で、岩手、宮城、福島、山形の4県で約80軒のレジャーホテルが休業しており、すでに廃業を決定したホテルが1軒、報告されています。また、岩手県の沿岸部で、現在もなお経営者と連絡がとれないホテルが2軒あるということです。
周知の通り、岩手、宮城、福島の沿岸部は、地震と、その直後の津波により壊滅的な被害を蒙ったホテルが多く報告されていますが、内陸部においても、地震の被害に加え、ライフラインの復旧の遅れにより、建物自体の損壊は少なかったものの、営業に至っていない事例も多くみられます。
また、4月7日に発生した大規模な余震による被害も報告されています。
●郡山IC
東北自動車道・郡山IC周辺のホテル街では、4月15日現在で5軒のホテルが休業しているものの、その他のホテルは営業を再開しています。震災の翌日から営業を再開したAホテルでは、3月の実績は前年比120%と、高集客を実現しています。震災後の1週間ほどは「お風呂が使えますか?」といった問合せが多く、水道、ガスなどのライフラインが寸断された一般家庭の入浴利用が主であったということですが、現在はカップル客の利用が中心になっています。同じく早い時期に営業再開したBホテルも同様の状況で、なかには「シャワーが使えなくてもよいから」といった問合せもあったそうです。「震災の影響で多くのレジャー関連施設の利用が低迷しているなか、改めてレジャーホテルに対する需要の高さを痛感しました。今回の震災では、一日でも早く営業を再開しお客さまに快適な客室空間を提供することが、レジャーホテルの責務だということを再認識しました」(支配人)。
〈復興が進む郡山IC周辺のホテル街〉
●「TIKI TIKI」
今回の震災では、地震と同時に津波の被害が甚大だったわけですが、仙台市宮城野区の14室の戸建てホテル「TIKI TIKI」も、津波によって壊滅的な打撃を受けました。震災直後、スタッフが迅速に誘導したことで利用客の被害はなかったということですが、その後、津波が押し寄せ、スタッフは辛うじてフロント棟に避難しました。しかし、フロント棟の内部も浸水し、スタッフはリネン棚と天上との小さな隙間に入り込み、そこで一晩を過ごしたということです。
写真の通り、ホテルの被害は甚大で、さらに追い討ちをかけるように震災後に精算機が荒らされるという残念な事態も起こっています。営業再開のための予算として約7,000万円を見込んでおり、現状では廃業も止む無しという考え方のようです。
〈地震と、その後の津波により壊滅的な打撃を受けた〉
〈震災直後に精算機の盗難被害も〉
〈スタッフが逃げ込んだフロント棟。スタッフはリネン棚の上で一夜を明かした〉
●「Hana よりKiss」
震災直後、レジャーホテルが一時的な避難場所として被災者に客室を無料提供したり、入浴サービスを行なうといった事例が多くみられましたが、仙台市青葉区の「Hana よりKiss」は、被災した高齢者介護施設の受入れを行なっています。
「介護施設が被災して入居者の受入れ先が見つからないと、仙台市老人福祉施設協議会から相談を受けたのがきっかけです。高齢者は、被災者のなかでも弱者であり、そうした方々の少しでもお役に立てればと考えたのです」(ホテルオーナー)。
同ホテルは28室のビル型ホテルで、そのうち10室のみで営業を続け、残りの18室を介護施設に提供しています。ホテル利用客に対しては、フロントで介護施設の受入れを告知しています。ホテル利用客と、介護施設の高齢者がホテル内で遭遇するケースもみられますが、ホテル利用客からは「素晴らしいことです」と、応援のメッセージが寄せられているということです。
〈介護施設の被災者に客室を提供した「Hana よりKiss」〉
〈ホテル利用客にはフロントの張り紙で告知〉
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今回の震災では、ホテル経営・運営における危機管理の重要性が改めて指摘されたと言えます。
一つは、災害時の対応です。災害は、経営者や支配人の不在時に発生することも考えられます。そうした場合でも、現場スタッフが利用客を迅速に避難させられるような仕組みづくりと、その訓練の徹底が求められます。また、経営者と現場スタッフとの連絡網の確保ということも重要な要素となります。
二つ目は、震災後の対応です。今回の震災では、精算機が荒らされたり、客室内のテレビなどが持ち出されるといった盗難被害がいくつか報告されました。それも、震災後の3月12~15日に集中しています。大きな災害の場合、利用客とスタッフの安全の確保で精一杯といったこともあるでしょうが、こうした二次被害を防ぐ取組みも日ごろから考えておくべきでしょう。
最後に、被災されたホテル関係者の方々の一日でも早い復興をお祈り申し上げます。





