高級シティホテルからビジネスホテル、カプセルホテル、そしてレジャーホテルと縦横無尽にホテルサービスを斬りまくる! 日本を代表する ホテル評論家 瀧澤信秋 が、いまイケてるレジャーホテルを自ら選び訪問。徹底リサーチし、ゲストに支持されるこれからのレジャーホテルを浮き彫りにしていきます。

第25回

ホテル トイスト/ホテル ミスト

(千葉市中央区)

若きオーナーが描く公式マスコットが
経年ホテルのイメージを一新

―将来を見据えつつ日々アクティブなレジャーホテルのトライ―

 コロナ禍におけるレジャーホテルシーンでは、壊滅的だった都心部と比較して郊外の健闘が目立ったという声がよく聞かれた。通常であれば集客に利のある都心駅近立地と比較して、郊外店舗は車での利用が前提ということもあり、リニューアルの条件や集客手法へのトライという点でも個性的な店舗が誕生する環境があるともいえる。

 千葉市の中心部から南側の蘇我は鉄道の便に優れ、高速道路のインターチェンジも中心部から近いことで、電車・車共に利便性の高い人気のエリアだ。観光的な視点でいえば、海浜幕張、東京ディズニーリゾートなど湾岸エリアと“線”で結ばれていることも注目できる。そんな蘇我の京葉道路高架近くにあるのが、今回紹介する「ホテル トイスト」「ホテル ミスト」(いずれも4号営業)だ。

 まず外観で興味惹かれるのが“アニメ”である。オーナーが描く公式マスコット「TOMY君」がユニークなセリフと共に大きく描かれている。建物そのものは経年感があり、さもすれば少し古いレジャーホテルという印象であるが、ポップでカラフルなアニメがイメージを一新している。ロビースペースから客室に至るまで、とにかくポップでカラフルなアニメの洪水。

 古いビジネスホテルをリブランドし、外観は変えずに大きな黄色いスマイルマークを掲げるチェーンビジネスホテルがあるが、イエローが印象的で記憶に残り、外観の経年感というネガティブな印象が相殺されている。カラースキームとはかように効果的であるが、TOMY君の存在とアクティブな“働きぶり”は、経年ホテルに新しい風を巻き起こしている。

 コロナ禍でほぼなくなったものの、近年の一般ホテルではインバウンド需要を当て込んだホテルラッシュという状況が指摘され、レジャーホテル業界においても一部訪日外国人旅行者の受け入れにシフトする施設も散見された。実は、ホテルトイスト・ホテルミストはいち早くOTAへ登録、外国人客からの予約が堅調になったホテルとして注目されていた。成田空港からのアクセスが良いこともあり、幕張の国際会議などで周辺ホテルが満室になるようなケースで予約が旺盛だったという。

 対面接客をはじめとして、いよいよレジャーホテルにも接客レベルといった質の高さが求められるというような時代になったことを予感させた。ホテルには英会話の堪能なスタッフは少なかったものの、基本的な説明を記したカードやスタッフが対応できるよう会話例の書かれたカードが用意されていたのも印象的だった。そんな先取的なホテルには、今日もきっと新たなトライが巻き起こっているはずだ。

 日々新たな試みを模索する若き経営者を、アクティブなイメージのTOMY君とつい重ね合わせてしまうのは筆者だけだろうか。


ホテルトイスト
千葉市中央区生実町886-1
TEL.043-209-6333
ホテルミスト
千葉市中央区生実町831-1
TEL.043-305-0855

ホテル評論家 瀧澤 信秋
日本で数少ない宿泊者・利用者目線のホテル評論家として、テレビやラジオへの出演、雑誌・新聞連載など、多方面で活躍。著書に「365日365ホテル 上」(マガジンハウス)、「ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方」(光文社新書)など
http://www.takizawa-nobuaki.net/hotel/

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