高級シティホテルからビジネスホテル、カプセルホテル、そしてレジャーホテルと縦横無尽にホテルサービスを斬りまくる! 日本を代表する ホテル評論家 瀧澤信秋 が、いまイケてるレジャーホテルを自ら選び訪問。徹底リサーチし、ゲストに支持されるこれからのレジャーホテルを浮き彫りにしていきます。

第34回

555MOTEL GOTEMBA(静岡県御殿場市)

レジャーホテルにして“集う拠点”を予感させる
モーテルのエッセンス


観光目的で訪れるゲストも多く、すなわちレジャーホテルにもエンターテインメント性が求められると推測できる静岡県御殿場市にあって異色のホテルが「555MOTEL GOTEMBA(スリーファイブモーテル御殿場)」である。

まず驚くのが、エントランスに展示されたいわゆるアメ車”だ。案内板には英語表記も並び、さながら「ルート66」を彷彿とさせる。ご存じの方も多いと思われるが、ルート66Route 66)は、アメリカ大陸を横断する道路であり映画や音楽などにも多く登場、555MOTELというホテル名のとおり、まさにルート66のモーテルを彷彿とさせるコンセプトだ。

 ホテルに取材へ出向き話を聞くと、まさにその通りでアメリカの旧き良き時代のモーテルをつくりたいという思いから、日本初のモーテルタイプのレジャーホテルを誕生させたという。そもそもの開業は1978年というが、2019年にいまの形に完全リニューアルされた。ガレージタイプであり全体の雰囲気もあいまってコンドミニアム的要素も強い。 

広い敷地の中心にメインとしての客室棟がある。ルームデザインにあたってはROUTE 66を旅する途上のサンタモニカやロサンゼルスもイメージされている。ダイニングキッチンを擁しているので食材を持ち込んで調理をするゲストも目立つという。客層はミドル層が主といい、エリアでは高価格帯にして宿泊も含め高稼動を保っているとのこと。観光利用も含めメンバーズ特典として、来店回数により最高25%OFFになるシステムが好評とのこと。

 異色なのが客室棟から外へ出ると飛び込んでくる、赤と白のコントラストが印象的な「555DINER」だ。

アメリカ映画のようなレトロな雰囲気はもはや日本ではない。DINERでは軽食、アルコールといった飲食をはじめ、ダーツやビリヤードなど本場のアメリカンダイナーにどっぷり浸れる。また、一角にはランドリースペースがありホテルの利用者は無料で使用できる。

 こうした本格的なパブリックスペース棟を設けるレジャーホテルは希有であるが、利用者がいるのか気になって聞いてみると、現状ではまだまだ少ないとのこと。このスペースがライブイベントなど地元の方が集える交流拠点になればというのがホテルの思いであるが、レジャーホテルの中ということでまだまだPRしきれていないのが実情のようだ。

 ところで555MOTEL GOTEMBAには、レジャーホテルでは珍しく背にホテルロゴが入ったスタッフのユニフォームが採用されている。広い敷地ということもあり植栽等の手入れなど外での作業も多いことから、一見してスタッフとわかることはかなり重要という。開かれたという印象を強くしたリゾートエリアのレジャーホテル……555DINERでイベントが開催される際には是非再訪したいと思った取材であった。

555MOTEL GOTEMBA
静岡県御殿場市東田中1297
TEL.0550-83-1150

ホテル評論家 瀧澤 信秋
日本で数少ない宿泊者・利用者目線のホテル評論家として、テレビやラジオへの出演、雑誌・新聞連載など、多方面で活躍。著書に「365日365ホテル 上」(マガジンハウス)、「ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方」(光文社新書)など
http://www.takizawa-nobuaki.net/hotel/

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